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今月のアーカイブ

 Archive of the Month


平成22年6月展示
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「和紙のちから
−資料を未来に伝える−

和紙のチップ
リーフキャスティング(漉嵌、すきばめ)に用いる和紙のチップ(楮、こうぞ)

平成22年5月28日(金)〜6月23日(水)
*終了しました。

文書館閲覧室

古くから伝えられてきた文書は
和紙のもつ力により、丈夫で長持ちし、今日まで受け継がれてきました。
しかし、保存環境によっては、カビ、虫食い、火災や水害など
様々なかたちで損傷をうけることがあります。
そうした被害を、和紙を使って修復することで、資料をさらなる未来へと伝えることができます。
今回は当館の収蔵資料に残るこれらの様々な被害と、
和紙を使った対処方法を紹介します。

なお、隣接する福井県立図書館でもふるさと文学コーナーで「和紙と貴重書」開催中。

6月9日の「国際アーカイブズの日」って?
ICA(国際文書館評議会)が発足した日です。ICAは、各国の公文書館が相互に連携して、その発展に貢献することを目的に、ユネスコの支援を得て昭和23年(1948)に発足した国際非政府機関です。

 「劒大明神灯明料注文」 裏 「劒大明神灯明料注文」 表
  福井県文書館が所蔵する最も古い資料 「劒大明神灯明料注文」  山内秋朗家文書(当館蔵) X0142-00034
和紙は繊維が長いため、薄くとも強靭で寿命が比較的長いといわれます。
適切な環境で保存された資料は、丈夫で長持ちし、今日まで伝えられてきました。

上の資料は、織田劒神社で灯明に必要な油代(灯明料)を管理していた坊院の
養躰院(ようたいいん)の隆尊が、
1497年(明応6)4月にその権利を真禅院に譲渡した時の文書です。
なお、同年12月に劒神社と織田寺は、所領の安堵を朝倉氏当主の貞景に求め、
この文書に関する灯明料も併せて安堵を求めました。
当時の安堵の方法の一つに、裏に保証の文言と安堵者の名前と花押を押す裏封がありますが、
この文書にも貞景の裏封が見られます。
現在当館が所蔵している資料の中で最も古い資料と考えられます。

繕い(つくろい)のイメージ図
虫害の修復法 繕い(つくろい)
比較的小さな傷みを補修する方法です。
資料よりやや薄めの和紙を、
資料の欠けている部分と同じ形に水でぬらした筆でかたどってちぎります(喰裂き(くいさき))。
これを裏から薄い糊で貼ります。毛羽(けば)だった繊維は絡んでくっつきやすいので、
毛羽の部分はほとんど糊をおとした筆でなでてやるだけで大丈夫です。
この方法は、酸性紙でもろくなった縁や綴(つづ)り穴の補強、
折り切れてしまった地図などの資料の補修にも役立ちます。
多様な厚さや幅の喰い裂きのテープをあらかじめ作っておくと便利です。

和紙による酸性紙の補強例(縁補強) 和紙による酸性紙の補強例(くいさき)
和紙による酸性紙の補強
インクのにじみ止め(サイズ剤)を定着させるため、硫酸アルミニウムを添加した紙を酸性紙といいます。
硫酸アルミニウムは紙や大気中の水分と反応し、
紙を構成する繊維(セルロース)を徐々に分解していきます。
そのため、紙によっては100年もたたないうちにボロボロに劣化してしまうものもあります。
酸性紙は戦前・戦後の昭和15〜30年頃に多く用いられていました。
「(水稲栽培試験成績、雑草防除、水稲新品種成)」1957年(昭和32) 40006328

リーフキャスティングによる修復
リーフキャスティングは、紙漉きの原理を応用した修復技法です。
資料の裏面を上にして機械にセットし、
その上から紙繊維を解離させた溶液を流し込むと、
紙繊維はより抵抗の少ない資料の欠損部分に補填されていきます。
そのため資料の厚みがほとんど変わらず、
厚みのある冊子資料や両面書きの資料でも、
資料に書かれているイメージを隠すことなく欠損部分を補填することができます。
また、糊を使わないため、補修した文書を今一度水に漬ければ、
補修前の状態にもどすこともできます。
リーフキャスティングマシン 1.リーフキャスティングマシン
右側の水槽に資料を置いて修復します。水槽の枠はハンドルによって上下します。左側の水槽から和紙溶液を流し込みます。
叩解のようす 2.叩解(こうかい)
補填(ほてん)する和紙の原料は、楮を使用しています。計量した楮の和紙チップに少量の水を加え、木槌で叩いて和紙の繊維をほぐします。

和紙溶液(ミキサーで攪拌) 3.和紙溶液
叩解した和紙チップにさらに水を加えてふやかします。これをミキサーで攪拌し、和紙溶液を作り、左側の水槽に入れます。

マスキンングのようす 4.資料のセットとマスキング
右側の水槽にセットしたネットの上に、資料を裏向きに置きます。資料から2センチくらい空けてマスキングをします。
和紙溶液注入のようす 5.和紙溶液の注入
右側水槽の枠のふたを下ろし、左側水槽の水を全て注入します。
水槽を上げ水を抜くようす 6.水を抜く
 ふたを上げながらハンドルを回し、枠の位置を上げます。このとき、水はより抵抗の少ない、資料の欠損部分を通って下に抜けていきます。そのことにより、和紙の繊維が欠損部分を補填します。
 その後、ネットを外し、水分を取ってプレスした後乾燥させます



ポスターpdf:226KB

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