今月のアーカイブ

土地はだれのもの?
-ふくいの地租改正-

 明治新政府は財政収入の安定を図るため、税制の統一を進めました。
 1872年(明治5)に土地の所有権を証明する地券を発行し、翌年には地租改正法を公布して本格的な改革に着手しました。これが地租改正です。
 この展示では、各地に残った明治時代の資料から、福井での地租改正の様子を見ていくことにします。

展示資料

地券これくしょん 1

「地券」
1883年(明治16) 「地券」
松田三左衛門家文書(当館蔵) A0169-03098
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地券これくしょん 2

「地券」
1882年(明治15)7月 「地券」
吉野屋文書(当館蔵) B0030-01271-001
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地券これくしょん 3

「地券」
1882年(明治15)7月 「地券」
飯田忠光家文書(当館蔵) G0013-00513-001
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地券これくしょん 4

「地券(草地)」
1882年(明治15)9月 「地券(草地)」
野尻喜平治家文書(当館蔵) I0076-01041
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地券これくしょん 5

「地券(立木山12 柴山2)」
1879年(明治12)10月4日 「地券(立木山12 柴山2)」
桜井市兵衛家文書(当館蔵) N0055-00421
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地券これくしょん 6

「地券」
1878年(明治11)6月10日 「地券」
岩崎左近家文書(当館蔵) Q0064-50006
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これこそ、地租改正の根源なのだ

地租改正方法草案
1875年(明治8)10月 「地租改正方法草案」
岩堀健彦家文書(当館蔵) D0001-00060
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 資料は地租改正に関する布達(行政命令)や規則などを集めたものです。これらは一般的に地租改正法と呼ばれているものです。 明治政府は1873年(明治6)7月に地租改正条例を布告し、地租改正事業を開始しました。
 紹介しているのは「地租改正条例」の部分です。その内容は土地の収益から地価を算定する、その地価の100分の3(地価の3%)を地租とする、旧来の石高制に基づく物納から金納に改める、豊凶にかかわらず地租を増減しない、地券所有者を地租納税者とすること、などです。 この条例により、敦賀県(現在の福井県)では74年(明治7)9月頃から地租改正事業を開始しました。

地租改正って何だろう?

「地租改正手続心得書」
「地租改正手続心得書」
「地租改正手続心得書」
1875年(明治8)10月 「地租改正手続心得書」
岡本卯兵衛家文書 P0009-00390

 1875年(明治8)8月26日に敦賀県(現在の福井県)職員2名が長源寺(小浜市小浜酒井)に出向き、戸長に地租改正について説明したことを書き記したものです。 これによると、土地の測量は測量人を雇って依頼していた村もあったようです。そのため、測量人へ支払う報酬は村にとって負担となっていました。
 そこで、敦賀県は手軽な器械を用いて測量する方法を有志の人々に教授することにし、測量方法を学びたい人々を募集しました。こうすることで村の金銭的な負担を軽くしようと考えたのです。
 この他にも、地租改正事業に関する手続きや書式等が細かく書き残されています。

測るとはこういうことだ

「山林原野取調手続(県甲第34号地租改正)」
1881年(明治14)4月30日 「山林原野取調手続(県甲第34号地租改正)」
玉川区有文書(当館蔵) D0076-00149
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資料は1881年(明治14)4月に出された福井県の布達甲第34号です。 この布達では、山林原野でも地租改正を施行するため、その調査方法を指示しています。また、速やかに山林原野の調査を行い、結果を報告するように求めています。
 紹介しているのは布達に付属していた絵図面の例です。右端に赤字で「絵図ノ用紙ハ美濃(みの)紙ノ類(たぐい)ヲ用ユヘシ」とあり、品質が高く耐久性のある和紙を用いるように指示しています。
 縮尺は「百間(約180m)凡曲尺壱寸(約3㎝)」とあるため、約1/6000となります。
 山林原野が「広漠(とても広い)」な場合は適宜図面を付け足すように指示しています。

地籍図これくしょん 1

「地租改正野取絵図」
1876年(明治9)2月 「地租改正野取絵図」
斎門六右衛門家文書(当館蔵) A0128-00398
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 資料は大野郡五本寺村(勝山市村岡町五本寺)の地籍図です。当時副戸長を務めていた斎門六右衛門が所有していたものです。五本寺村は滝波川および暮見川による扇状地にあり、北は黒原村(勝山市村岡町黒原)、南は郡村(勝山市郡町)に隣接していました。
 紹介しているのは字三番宗中嶋の部分です。東西南北が記されており、図の上側が北ではなく南となっています。 また、4月19日の朝から午後4時まで測量を行ったことが書かれており、一日がかりで作業をしていたようです。 4名の測量人の中には六右衛門の名前があり、現地の人々が測量していたことがわかります。

地籍図これくしょん 2

 「越前国坂井郡北菅生浦字限地籍絵図(3600万分1)」
1876年(明治9) 「越前国坂井郡北菅生浦字限地籍絵図(3600万分1)」
松田三左衛門家文書(当館蔵) A0169-03090
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 1876年(明治9)に地租改正事業のために作成された越前国坂井郡北菅生浦(福井市北菅生町)の地籍図を87年(明治20)1月に写したものです。元々の地籍図は地租改正事業の際に、実際に現地を精密に測量して作成されました。
 紹介しているのは「字夜起島」の部分です。その昔、藤七という老人に「私は今、近くの海岸に流れ着いているので助けてほしい」という夢のお告げがありました。夜が明けてから藤七が海辺に行くと小船が浮いていて、菅原道真の像がありました。小船は「夜に藤七を起こした島」ということで「夜起島」と名付けられ、道真の像は近くの天満宮に祀られたということです。
 字名はこの伝説に由来していると思われます。

地籍図これくしょん 3

「越前国坂井郡笹和田村字限地籍絵図」
1876年(明治9)10月 「越前国坂井郡笹和田村字限地籍絵図」
田中善右衛門家文書(当館蔵) A0177-00002
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 地租改正事業のために作成された越前国坂井郡笹和田村(坂井市丸岡町笹和田)の地籍図です。笹和田村は坂井平野の東部に位置し、一本田村(坂井市丸岡町一本田)と西側で隣接していました。また、かつて禁裏御料(皇室領、皇室の土地財産のこと)であったことが知られています。
 資料は明治時代に笹和田村の地主惣代(村の代表者)を務めていた田中善右衛門が保管していたものです。県からの布達により、現地を精密に測量して作成された地籍図であることが記されています。
 紹介しているのは「字鹿村」の部分です。字が広範囲にわたっていたため、収まらなかった部分は紙を足して補っています。

地籍図これくしょん 4

「越前国大野郡今井村山抹原地字限全図(彩色)」
1881年(明治14)10月 「越前国大野郡今井村山抹原地字限全図(彩色)」
山田三郎兵衛家文書(当館蔵) I0011-00899
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 越前国大野郡今井村(大野市今井)の山林原野の地籍図です。今井村は真名川扇状地の扇頂部近くに位置し、北は五条方村(大野市五条方)、西は平沢地頭村(大野市平沢)と平沢領家村(大野市平沢)に隣接していました。
 資料の中に「磁石三百六十度、之ヲ十二支ニ配、子ノ令度ヲ以テ正北ト定ム」とあり、子の方角を0度としてこれを真北と定めています。ここでは、子の方角が下にきているため、図の下側が北、上側が南となっています。 また、「図中支分ニ併列スル間数ハ斜面ノ儘ヲ以テス」とあり、図の左側に書かれた距離(間や分)は斜面をそのまま計測していることが分かります。
 なお、1間=約1.8m、1分=約3㎜です。

ガラスケース内

野取図の保管箱

 「野取図面箱入(木箱)」
1876年(明治9) 「野取図面箱入(木箱)」
野尻喜平治家文書(当館蔵) I0076-01366
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 野取図とは、地租改正事業において作成された地籍図の別称です。地図の精度としては低いものの、現在でも土地の登記に関する事務に大きな役割を果たしています。
 この木箱は野取図を保管するために用いられていたようです。ふたには「明治九年政(改)正」「持主 野尻喜左衛門」とあり、大野郡横枕村(大野市横枕)の野尻喜左衛門が持っていたことがわかります。
 ふたの裏面には「下麻(生)嶋村 中村甚左衛門」と「横枕 野尻喜左衛門」の名前が書かれています。甚左衛門についてはわかりませんが、大野郡下麻生嶋村(大野市下麻生嶋)の有力者だったと思われます。

書類の保管箱

 「地租改正諸書入庫(木箱)」
1877年(明治10)  「地租改正諸書入庫(木箱)」
野尻喜平治家文書(当館蔵)

 地租改正に関する書類を保管していたと思われる木箱です。 大野郡横枕村(大野市横枕)は真名川と清滝川に挟まれ、北は新在家村(大野市南新在家)、南は堂本村(大野市堂本)に隣接していました。
 野尻家の当主は喜平治(次)を称し、明治時代には横枕村の副戸長を務めていたことが分かっています。そのため、地租改正に関する書類を保管するためにこのような木箱を用意したのでしょう。
 ふたには「明治十丑年 地租改正諸書入庫」とあります。「諸書」とは多くの書物、「入庫」には品物が倉庫に入ること、あるいは品物を入れる こと、という意味があります。

関連事業

今も現役?明治の地図~地図に親しむ2週間~

今も現役?明治の地図~地図に親しむ2週間~

期間:2018年(平成30)7月27日(金)~8月5日(日)
主催:福井県土地家屋調査士会
共催:福井県文書館
会場:福井県立図書館・福井県文書館
内容:無料公開講座、体験コーナー、資料展示、登記無料相談会

詳しくはこちら(pdf:2.35MB)をごらんください。

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