今月のアーカイブ Archive of the Month
福井県文書館では、月替わりで収蔵資料や館の活動を紹介する展示を行っています。
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和紙 -生産と再生のエピソード-

越前紙漉図説
                 牧野信之助編『越前紙漉図説』1938


平成28年4月16日(土)~6月22日(水)

文書館閲覧室


和紙には、記録媒体として1,000年以上利用されてきた歴史があります。
この和紙はどのようにつくられ、どのように使われてきたのでしょうか。
今回は、6月9日の国際アーカイブズの日*にちなみ、越前各地の和紙の生産などを示す資料のほか、
和紙の一生、いわば「和紙のライフサイクル」に関する資料とエピソードを紹介します。


6月9日の「国際アーカイブズの日」って?
文書や記録を保存し、その利用を図ることの大切さを考える日。
1948年(昭和23)6月9日、国際公文書館会議(ICA)の発足にちなんでいます。


紙をつくる

中世の大滝神郷の紙座
「大滝神郷紙座之事」
1575年(天正3) 「大滝神郷紙座之事」大滝神社文書G0501-00083
越前一向一揆を平定した信長政権は、今立郡大滝神郷の紙座を保護しました。
資料は1575年10月、府中三人衆(前田利家、佐々成政、不破光治)が下した紙座の定書です。
敦賀・南条郡の境にあたる木ノ芽峠から足羽郡浅水(あそうず)橋にいたる
南条・今立・丹生各郡の紙商売の諸役免除と紙屋たちへの夫役停止などが規定されています。

「越前奉書紙」の生産から販売まで
「越前奉書紙書上帳」
1790年(寛政2) 「越前奉書紙書上帳」大滝神社文書G0501-00100
1790年、今立郡五箇のうち岩本・定友両村が、「越前奉書紙」の生産から
江戸の問屋に対する販売までを書上げたものです。
楮などの原料とその代金、漉子の手間賃、江戸までの駄賃など諸経費のほか、
紙漉きに必要な道具や紙値段などがわかります


『越藩拾遺録』下 産物類
『越藩拾遺録』下 産物類
福井県立図書館蔵 坪川家本
18世紀半ばに福井藩士村田氏春により著されました。
産物類として、領内の紙の産地と生産される紙の種類についての記事があります。

⇒ パネル展示 …「越藩拾遺録」にみえる越前の和紙産地 pdf:187KB

産物としての紙
「産物品書」
1841年(天保12) 「産物品書」当館寄託飯田広助家文書G0024-00044
鯖江藩領でも紙は重要な産物でした。資料は1841年1月、
今立郡東俣組の大庄屋らが、鯖江藩に領内産物の運送を願い出たさいのものです。
この翌月、藩はこの願い出を受けるかたちで専売制を実施し、鯖江の産物会所から
江戸へ奉書紙類など9品の産物が出荷されました。
翻刻文はこちら(pdfファイル)

極秘にされた藩札の漉替え
「札紙漉替ニ付起請文」

福井藩藩札
(上) 1754年(宝暦4) 「札紙漉替ニ付起請文」越前市所蔵加藤河内家文書G0508-00002
(下) 福井藩藩札(天保札) 当館寄託飯田広助家文書G0024-01770
五箇の和紙は、その品質の高さから、藩札の札紙としても使われました。
資料は、男女7人の漉子(すきこ)が、他人はもちろん親子兄弟にもこれについて一切語らないこと、
札紙の屑紙を隠し置かないこと、札紙に似た紙を漉かないことなどを、
血判をもって日本国中の神々に誓った起請文です。

⇒ パネル展示 …血判で誓う7人の漉子(すきこ)たち pdf:277KB

太政官札
太政官札
越前市 紙の文化博物館蔵
三岡八郎(由利公正)の建議にもとづき、維新政府が1868年(慶応4)に
発行した最初の紙幣です。今立の和紙が使用されました。

⇒ パネル展示 …三岡八郎(由利公正)と今立五箇の「浅からぬ縁」 pdf:135KB


紙を再生・再利用する

漉返(すきかえし)紙(薄墨(うすずみ)紙、宿(しゅく)紙)の資料
 「覚(飯賄書上)」   「覚(飯賄書上)」当館寄託飯田広助家文書G0024-02263 

鯖江藩役人に対する賄(まかない)の覚。賄を負担した人名と賄の内訳(昼飯、夕飯、酒)などがみえます。
 「外国交易触ニ付郡奉行衆達」  「外国交易触ニ付郡奉行衆達」当館寄託飯田広助家文書G0024-02386

幕末の開港と外国人居留地の設定をうけ、外国人と接しないよう通達した幕府の触を、鯖江藩役人が領内に知らせるための達書です
 「諸事依頼ニ付書状」 「諸事依頼ニ付書状」当館寄託飯田広助家文書G0024-02633

 留守中の飯田彦太郎から、妻はる宛ての書状。かな書き文で、貝原益軒著『養生訓』の送付などを依頼しています。
反故(ほご)紙を漉き返した一種の再生紙で、墨の色が残るため、ねずみ色をしています。
夾雑物がみられるものも多くあります。漉返紙は、私的な書状や覚書以外にも、
藩からの達書など一部の公的な文書にも広く使われていました。


鼠(ねずみ)半紙の売出し差止め
 「訳合書」
1827年(文政10) 「訳合書」安達利雄家文書A0175-05081
1827年、大谷村の訴えにより坂井郡楢原村・四十谷村・田谷村による
町方への鼠半紙(再生紙)の売出しが差止められました。
しかし、臨済宗大安寺に鼠半紙を供給する必要があることなどを理由に、
田谷村だけはこの措置に一時納得しませんでした。

⇒ コラム …「田谷村が売出し差止めに納得しなかったのは・・・」 pdf:186KB

下張紙の数奇な運命
屏風下張資料
江戸時代後期 屏風下張資料 当館蔵

の紙は、もともと長帳(冊子)形式の資料の一部でした。その後綴じが解かれ、
裏面(紙背(しはい))も使われました。
は俳句関係の覚書の一部、
は越中富山の薬「竿万金丹」の効能書です。これらの紙は世の中をめぐりめぐって、
屏風の下張紙として再利用されました。


襖の下張から公文書が…
襖の下張りからみつかった公文書

明治時代末期 当館蔵
襖の下張からみつかった、福井県公文書「文書処理件名簿」の一部です。
県宛ての文書の件名や差出人などがわかります。

⇒ コラム …「この公文書はいつのもの?」 pdf:141KB


展示室内

『越前紙漉図説』
『越前紙漉図説』

御用紙の荷物絵符
御用絵符
越前市 三田村士郎氏蔵
尾張徳川家から注文を受けた紙を運送するさいに使用されたものです。

御用紙の通(かよい)箱
通(かよい)箱 通箱(覆いを外した状態)
越前市 三田村士郎氏蔵
将軍御用紙を運送するさいに使用された箱と伝えられています。
箱の覆いは革製で、箱は柿渋紙が貼られ、箱の蓋には鍵がかけられるようになっています。



ガイドペーパーpdf:874KB
ポスターjpg:593KB 

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